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初めての消費税申告を前に、「原則課税と簡易課税、どちらを選べばいいの?」「みなし仕入率って何?」と手が止まっている個人事業主・小規模法人のみなさんも多いのではないでしょうか。
結論から申し上げると、経費(課税仕入れ)の割合が少ない業種ほど、簡易課税を選んだほうが納める消費税を抑えやすくなります。 インボイス登録に伴う「2割特例」が終了する方にとっても、簡易課税は有力な受け皿の一つです。ただし、届出の期限と「一度選ぶと原則2年間はやめられない」ルールには注意が必要です。
この記事を読むと、次の4つのことがわかります。
読み終えるころには、自分の事業がどちらの方式に向いていそうか見当をつけ、期限内に手続きを進められるようになります。迷ったときは、FinTaxの有利判定のご相談もぜひご利用ください。
※本記事は、令和8年(2026年)10月時点の情報にもとづいています。
この記事の監修・・・FinTax株式会社 税理士 新居一真 (東京税理士会所属/登録番号:152948)

スタートアップ支援・創業支援に強い税理士です。
事業会社での実務経験を持ち、親しみやすいコミュニケーションで起業初期の経営者に伴走します。
インボイス登録後の消費税の計算方法は、実質的に「原則課税(実額計算)」と「簡易課税(概算計算)」の2種類です。 八百屋さんにたとえると、違いがイメージしやすくなります。
原則課税は、支払った消費税を一つひとつ集計する手間がかかります。一方、簡易課税は、売上の消費税額がわかれば納付額を計算できるため、事務の負担を軽くできます。
インボイス登録を機に課税事業者になった方向けの「2割特例(売上の消費税の2割だけを納める特例)」は、令和8年(2026年)9月30日の属する課税期間までの特例です。個人事業主の場合、令和8年分(2026年分)の確定申告が最後となります。(出典:国税庁タックスアンサーNo.6498 )
令和9年分・令和10年分は、小規模な個人事業者向けに「3割特例」が新設されています。ただし、対象には要件があります。3割特例が使えない方や、令和11年分以降を見据える方にとっては、簡易課税が有力な選択肢の一つになります。(出典:国税庁「令和8年度税制改正特集」 )
※2割特例・3割特例の詳しい内容や、インボイスに登録すべきかの判断は、親記事の「登録後の納税の負担を軽くする方法は?」の章で解説しています。

簡易課税での納付税額は、「売上の消費税額×(1−みなし仕入率)」で計算します。 みなし仕入率は、事業の種類(業種)に応じて、第1種から第6種までの6区分に分かれています。
| 事業区分 | 主な事業内容 | みなし仕入率 | 実質的な税負担割合 |
| 第1種事業 | 卸売業 | 90% | 売上の消費税の10% |
| 第2種事業 | 小売業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡) | 80% | 売上の消費税の20% |
| 第3種事業 | 製造業、建設業、農業・林業・漁業(飲食料品の譲渡以外)など | 70% | 売上の消費税の30% |
| 第4種事業 | 第1・2・3・5・6種以外の事業(飲食店業を含む) | 60% | 売上の消費税の40% |
| 第5種事業 | サービス業(飲食店業を除く)、運輸通信業、金融・保険業 | 50% | 売上の消費税の50% |
| 第6種事業 | 不動産業 | 40% | 売上の消費税の60% |

区分は、会社全体ではなく、売上の種類(取引の内容)ごとに判定します。迷いやすい例は次のとおりです。
2つ以上の事業を兼業している場合や、区分の判定に迷う場合は、届出の前に税理士へ確認しておくと安心です。
「簡易課税」と「原則課税」のどちらが有利かは、実際の経費の割合(課税仕入れの割合)と、みなし仕入率の比較で決まります。 創業期に多い3つの業種を例に、同じ条件(税込売上660万円、税抜売上600万円、売上の消費税60万円)で納付額を比べてみましょう。
| 業種(区分・みなし仕入率) | 簡易課税で納める消費税 | 原則課税で納める消費税(仮の仕入れの場合) | 有利な方式 |
| IT受託・デザイン(第5種・50%) | 30万円 (60万円×1−50%)) | 52万円(60万円−8万円。課税仕入れ80万円) | 簡易課税が有利(22万円少ない) |
| 小売業(第2種・80%) | 12万円 (60万円×1−80%)) | 18万円(60万円−42万円。課税仕入れ420万円) | 簡易課税が有利(6万円少ない) |
| 飲食店(第4種・60%) | 24万円 (60万円×1−60%)) | 21万円(60万円−39万円。課税仕入れ390万円) | 原則課税が有利(3万円少ない) |
※課税仕入れは、すべて税抜の金額で、消費税率10%(標準税率)として計算しています。数字は、考え方をつかむための仮の試算例です(令和8年10月時点)。

簡易課税が、いつも有利になるとは限りません。 次のような場合は、原則課税のほうが納める消費税を抑えられる、または還付を受けられることがあります。
簡易課税は、仕入れの消費税を実額ではなく、「売上の消費税×みなし仕入率」で計算する方法です。
そのため、実際に支払った消費税がどれだけ多くても、その分は計算に反映されず、還付は受けられません。大きな設備投資を予定している年は、事前に試算しておきましょう。
なお、高額な固定資産を取得した場合などには、簡易課税の選択に関する例外のルールがあります。自社がどうか少しでも不安なときは、ぜひFinTaxへご相談ください。
簡易課税を使うには、「消費税簡易課税制度選択届出書」を、納税地を所轄する税務署に提出する必要があります。 次の3つのルールを必ずチェックしてください。
| チェック項目 | 概要とルール | 具体例(個人事業主の場合) |
| ① 提出期限 | 原則として、適用したい課税期間の初日の前日までに届出書を提出する | 2027年分(令和9年分)から使いたい場合は、2026年12月31日までに提出 |
| ② 2年縛り | 一度選ぶと、原則2年間は原則課税に戻せない(やめるときの「不適用届出書」は、選んだ課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でないと出せない) | 2027年分から適用した場合、2027年・2028年の2年間は簡易課税が続く |
| ③ 売上高の要件 | 基準期間(個人は前々年)の課税売上高が5,000万円以下であること | 2027年分の場合は、2025年の課税売上高が5,000万円以下であること |
※法人の場合は、原則として事業年度の初日の前日までに提出します。
次の場合は、提出期限に特例があります。
2割特例が終わる方は、この特例を使えるかどうかで、届出の期限が変わります。届出書の提出前に、必ず税理士へ相談してください。

原則として、適用を受けたい課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出します(個人事業主が2027年分から使う場合は2026年12月31日まで)。インボイス登録した年や、2割特例を使った翌年には提出期限の特例があります。
事業の種類によって第1種(卸売業)90%、第2種(小売業)80%、第3種(製造業等)70%、第4種(その他)60%、第5種(サービス業等)50%、第6種(不動産業)40%と定められています。自分の事業がどの区分に該当するか確認することが重要です。
消費税の負担を軽減する対策として、①簡易課税と原則課税の有利選択、②課税期間の短縮による早期還付、③消費税課税事業者選択不適用届出書の提出タイミング最適化、④設備投資のタイミング調整などがあります。不正な申告は重加算税の対象となるため税理士への相談を推奨します。
仕入れや設備投資時に支払った消費税が、売上時に受け取った消費税より多い場合に還付が発生します。輸出業者(輸出は消費税免税)や、開業初年度に多額の設備投資をした事業者などで生じやすいです。原則課税を適用している課税事業者のみが対象となります。
最後に、この記事の要点を振り返りましょう。
「簡易課税と原則課税のどちらが有利か」は、売上の規模だけでなく、毎年の経費の構成や設備投資の計画によって変わります。機械的に決めずに、年ごとに数字を見直すことが大切です。
FinTaxでは、ご自身の過去の決算データや今後の投資計画をもとにした「消費税の有利判定」から、届出書の提出、申告まで一貫してサポートしています。消費税の申告は、別途80,000円(税抜)です。詳しくは料金表をご確認のうえ、消費税の手続きでお困りの方は、お気軽にFinTaxの無料相談をご利用ください。
この記事の監修・・・FinTax株式会社 税理士 新居一真 (東京税理士会所属/登録番号:152948)

スタートアップ支援・創業支援に強い税理士です。
事業会社での実務経験を持ち、親しみやすいコミュニケーションで起業初期の経営者に伴走します。