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個人事業主として活動しているとき、事業がうまく軌道に乗らず、最終決算が赤字になることもありえます。
その時、確定申告すべきなのか悩まれる方は少なくないかと思います。
結論からお伝えすると、決算が赤字でも確定申告は行ったほうが良いです。
そこで、今回のコラムを読んでいただけると、
がわかります。
今回の内容を読んでいただき、赤字となったときに確定申告をすべきなのか判断してもらえると幸いです。
もし、「確定申告を行いたいが、決算書をまとめたり、確定申告を行うのが手間。。。」という方は、当社でサポートいたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
それでは、赤字のときの確定申告の必要性について見ていきましょう。
この記事の監修・・・FinTax税理士法人/FinTax株式会社
資金調達のプロフェッショナルである若手税理士集団
会社設立から創業融資・補助金の支援までバックオフィス業務を幅広くサポート
そもそも、確定申告は、納めるべき税金金額を計算・確定して申告するものです。
個人事業主の事業が赤字だった場合、所得金額が0円以下となるため、税金はかからず、所得税や住民税はかかりません。
そのため、決算が赤字だった個人事業主は、確定申告する必要性はありません。
しかし、確定申告する必要性がないとはいえ、確定申告することでのメリットは大いにあります。
赤字の場合でも確定申告を行うメリットを確認・理解したうえで、ぜひ確定申告するか検討してみてください。
個人事業主が、決算が赤字でも確定申告するメリットは以下です。
このメリットは非常に大きいですので、それぞれ解説します。
決算が赤字でも確定申告するメリットは、確定申告を青色申告で行う場合、3年間の損失繰越ができることです。
損失繰越とは、その年の事業決算の赤字分を、翌年以降の黒字と相殺することで、本来かかるはずだった税金金額を抑えることをいいます。
株式投資を行っている人でしたら、株式投資損失が3年間繰り越せることはご存知かと思いますが、そちらと同じ内容です。
ここで一例を提示しますので、どのようになるか確認してみましょう。
(計算の都合上、基礎控除など控除金額は0円とします。)
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,00円~3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~ 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~ 17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円~ | 45% | 4,796,000円 |
2023年は赤字でしたので、確定申告を行う必要性はありませんが、2024年の事業を頑張ったところ300万円の黒字となりました。
本来、2024年の黒字300万円に税金がかかりますが、2023年の赤字と相殺することができます。
2024年分:3,000,000円 × 10% – 97,500円 = 202,500円
上記の例のように、本来かかるべき税金金額を抑えることができ、節税効果があります。
赤字繰越は3年間可能なため、もし、2024年の黒字が150万円以下や赤字だった場合、2023年分の赤字は2025年分にも繰り越すことが可能なため、ぜひ確定申告を行うか検討してみてください。
損失繰越と同様の考え方で、前年の黒字と当年の赤字を相殺することができます。
前年の黒字と相殺した場合、前年に納めた所得税額と相殺され、相殺分を還付してもらうことができます。
損失繰越と同様、一例を提示しますので、確認してみましょう。
2022年分:5,000,000円 × 20% – 427,500円 = 572,500円(所得税として納付済み)
確定申告を行うことで、前年に納めた所得税のうち、127,500円が還付金として戻ってきます。
資金繰りが厳しい時期に還付金として納めた税金が戻ってくるのは、非常にありがたいですね。
非常に大きなメリットが2つありますが、注意点もあります。
それは、先に紹介した損失繰越との併用ができないということです。
そのため、今後の想定事業状況を加味しながら、どちらの制度を利用するか、考えてから利用するようにしましょう。
ここまで説明した損失繰越と繰り戻し還付それぞれのメリットとデメリットを以下にまとめましたので、再度確認しておきましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
損失繰越 | 翌年が黒字なら、黒字と相殺が可能 所得税の節税効果が得られる | 翌年も確定申告実施が必要 翌年以降も赤字の場合、節税効果が薄くなる |
繰り戻し還付 | 還付金として、手元に税金が戻ってくるため、資金繰りが良くなる。 | 還付対象は国税(所得税)のみであり、住民税は対象外。 還付請求には基本的に調査が伴う 前年も青色申告を行っている必要がある |
赤字でも確定申告したほうがいいメリットをお伝えしました。
「メリットはわかったけど使わないし、面倒な確定申告はしたくない」という考えの方もいらっしゃるかと思います。
では、確定申告をしなかった場合のデメリットについてもお伝えします。
確定申告を行うと、原本を税務署提出時は申告書控えに収受印の押印が、e-Taxで申告した場合、電子申請等証明書を入手できます。
これらが所得の証明書として利用できます。
この所得の証明書がなぜ必要かといいますと、以下のときに求められるからです。
確定申告を行わないと、所得証明書が入手できず、上記のような申請ができなくなるため、確定申告は行ったほうが良いです。
課税証明書とは、個人の所得金額や扶養の状況、住民税の課税額などが記載された、住所地の市区町村が発行する証明書のことです。
この課税証明書は、所得証明書と同等の意味を有するため、先に示した例だけでなく、以下のときにも必要となります。
個人事業主のみなさんの住民税額は、市区町村が確定申告を基に得た所得などの情報から計算するため、確定申告を行っていないと、その年分の課税証明書が発行できなくなります。
そのため、お子さんがいて保育園に入園させる予定があるなどを考えている方は、必ず確定申告するようにしましょう。
個人事業主のみなさんは、国民健康保険を利用していますが、その国人健康保険を利用するにも、確定申告による所得等の情報が必要となります。
なぜならば、支払う国民健康保険料の算出に、確定申告に記載された所得情報が必要となるためです。
確定申告することにより、個人事業主の所得が赤字と判明した場合、住民税の非課税世帯となるため、国民健康保険料が大きく優遇されることとなります。
逆を返すと、赤字で確定申告を行っていない場合、国民健康保険料の優遇を受けることができなくなります。
赤字でも確定申告をするメリットや、確定申告を行わないデメリットについて解説しました。
たくさんのことがわかったところで、どのような書類を準備すべきか、お伝えします。
通常の確定申告で準備する書類の他、確定申告書B第四表が必要となります。
「青色申告決算書」と「確定申告書B第一表・第二表」は、こちらのコラムで紹介していますので、今回は「確定申告書B第四表」について、解説します。
確定申告書B第四表(損失申告用)は、赤字を申告する場合のみ使用します。
上記画像は、第四表の一部です。
全ページ分は以下URLより確認とダウンロードが可能ですので、確認してみましょう。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r01/04.pdf
第四表には、以下内容を記入します。
第四表の作成が完了したら、第一表や第二表とともに提出することで申告完了です。
今回は、「赤字でも確定申告は必須!個人事業主が知っておくべきポイント」を解説しましたが、いかがだったでしょうか。
事業が赤字だったとしても確定申告したほうがいいことは、わかったかと思います。
確定申告の書類準備や提出は大変かと思いますが、税制優遇など助かる点がたくさんありますので、時間があるときに取り掛かるようにしましょう。
そうは言っても作成に割く時間が無い方もいらっしゃるかと思います。
そんなときは、ぜひ当社を活用してみてはいかがでしょうか。
当社は、税理関係のプロフェッショナルが揃っており、かつ若いからこその柔軟なIT活用やスピーディな対応が可能です。
もし、確定申告書作成を相談したい、ほか税務関係を相談したいなど要望がありましたら、ぜひ当社にご相談ください。